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「貴良の“初めて”貰ってあげてもいいよ?」 わざとらしく、こてんと首を傾げてそう言えば、貴良はしらっとした顔のまま小さく溜め息を吐き出した。 「何言ってんの。そもそもお前、彼氏いんだろ」 「っは?彼氏?なにそれ?」 「なにそれって、服部と付き合ってんじゃねえの?」 「ちょ、やめてよ!確かに服部はあたしにぞっこんだけど、あたしは全っ然興味ないから!」 首と両手をブンブンと横に振りながら全否定するあたしに貴良は特に興味もなさそうに「ふーん」と単調な相槌を打つ。 そして、 「付き合えばいいのに」 「……」 「お前ら、お似合いじゃん」 あたしの気持ちなんて露も知らずにそんな事をさらりと言い放つんだから、本当にタチが悪いと思う。 いっそのこと思い切りフラれた方がマシだ。 鈍感もここまで来ると笑えないし、恋愛に無頓着すぎるのもいい加減にしろって思うけど。 それでも“好き”を辞められないから、とことんバカな女に成り下がるしかなかった。
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