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「え、気づかなくてごめんね!?」
「……」
「あたしは全っ然 平気だけど貴良が怖いなら仕方ないね!やめよっか!」
わざとらしいほどに明るい声でそう言って、早々に浮かそうとした腰に、逞しい腕ががしりと巻きついた。
「お前、バカ?」
ねえ、貴良。
あたしも大概バカだけどさ、多分あんたも負けないくらいバカだよ。
「こんなんでビビるわけねーだろ」
こんな安い挑発に乗っちゃって、まんまとあたしの思い通りになっちゃって、大バカじゃん。
もうそのままあたしのこと、好きになっちゃえばいいのに。
でも好きになってもらう方法は分かんないから、もうこれがあたしの精一杯だ。
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