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「てかあたし、あいつには会いたくないんだけど」
「あいつって?」
ふいに落とされたチホの言葉に首を傾げれば、チホは眉間に深い皺を刻んだまま静かに紫煙を吐き出しながら「中田」と、懐かしい名前を紡いだ。
「ちょ、中田とかめっちゃ懐かしいんだけど!あれじゃん、チホの処女奪ったやつじゃん」
「まじで思い出したくないから言わないでくれる」
お腹を抱えてケラケラと笑うミクに、チホは低い声を返す。
そんな2人を交互に見ながらも、あたしはというと開いた口が塞がらないという状態だった。
「待って。チホの初めての相手って中田なの?」
「え、何うらら、知らなかったの?」
「知らない!初耳なんだけど!?いつ!?」
「えーと…中2の夏?だったかな?」
短くなった煙草を灰皿に押し付けながら放たれたチホの言葉にいっそう唖然とする。
「中2…?…早すぎない?」
「えー?普通っしょ?ミクもそんくらいじゃんね?」
「ん、あたし中3~」
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