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手にしたそれは少しだけ冷たさが軽減されていて、冷蔵庫に入れておくんだったと後悔しつつも蓋を開ける。
プシュ、と空気が抜ける音が響いたと同時、新しい煙草に火をつけながら、チホが口を開いた。
「うららって高校卒業した後、彼氏いたことあんの?」
「ありませんけど?」
「まじであんたの恋愛遍歴って謎すぎるよね。“尻軽そうなのにガード固い”って服部もよく言ってたし」
…服部。もはやその名前でさえ懐かしい。
卒業からもう2年も経ってるから当たり前か。
ていうか、
「尻軽そうってなによ。聞き捨てならないんだけど?」
「まあ仕方ないっしょ、あんた服装はもちろん、顔も派手だし」
「いやいや、チホには言われたくないんだけど?」
「まぁ無事に脱・処女できてんなら良かったじゃん、はい乾杯〜」
新しい缶酎ハイを手にしたチホは、へらりと笑いながらそれを突き出してきたから渋々といった感じでそれに自分の缶をぶつけた。
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