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缶を口に近づけたところで、スマホをいじっていたミクがふいに顔を上げてあたしを見据えた。
「そういや うららって景山と連絡取ったりしてんの?」
そして投げかけられたその問いに、どくんっと心臓が大きく跳ねた。
まるでそれが何かの合図だったかのように、どくんどくん、と次第にその音が大きくなっていく。
「…卒業してからは全く取ってないけど…どうしたの?」
「いや、なんかこんなの回ってきてさ〜」
平然を装いながらそう聞けば、ミクはそう言いながら自分のスマホをあたしに手渡した。
その画面に視線を落とせば、そこには懐かしい顔が映し出されていた。
あの時よりも少し大人びた顔つきをしている貴良は、黒いヘアバンドを巻いて、赤いユニフォームに身を包んでいる。
仲間とハイタッチをしているその顔には嬉しそうな笑顔が浮かべられていて、胸がきゅうっと締め付けられた。
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