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◇ 指定されたホテルに着いた頃にはもう随分と見知った顔ぶれが揃っていた。 さっき式で会ったとは言えど、まだまだ話し足りないと言わんばかりに、あちこちで思い出話しに花を咲かせている。 がやがやと騒がしい雰囲気に包まれたまま、同窓会が始まった。 きょろきょろと辺りを見渡してみても、お目当ての人物は一向に見つからない。 「あれ?貴良ってまだ来ねえの?」 まるであたしの心の中を読んだかのような誰かの呟きにドキリと心臓が跳ね上がった。 声がした方向に視線を移せば貴良と親しかった男子数人の姿が目に入った。 「なんかまだこっち着いてないっぽい」 「まじか。成人式にも出れないとか、そんなに部活忙しいんかな?」 「そりゃそうだろ〜あいつ、プロ目指してんだぜ?」 まるで盗み聞くようにその会話に耳を立てながら、目の前に並べられたビュッフェのおかずを少しずつお皿に乗せていく。
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