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やばい。
間違ったかもしれない。
自惚れすぎたかもしれない。
だって、目の前の貴良の表情からは嫌悪や不快さが滲み出ていて、とても乗り気だとは思えない。
「お前、」
「なーんてね!!」
貴良が何かを言おうとしたのが分かって、慌てて被せるように声を発した。
「冗談に決まってるじゃん!」
「……」
「どう?ビックリした?」
わざとらしく首を傾げて、ぺろっと舌を出してみたりもしたけど、内心はかなり焦っていた。
心臓がバクバクと嫌な音を引っ切り無しに打ち鳴らしていて、煩わしい。
久しぶりの再会で調子に乗りすぎてしまった。また抱いてくれるかも なんて、そんな事あるわけなかったんだ。
だって、もう、2年だ。
あれから、2年も経ってる。
「貴良くん?」
まるでタイミングを見計らったかのように、あたしと貴良の間に可愛らしい声が落ちてきた。
視線を向けた先にいたのは、高校時代に貴良と最も噂になっていた篠崎さんだった。
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