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そう言うわりに愉快そうにケラケラと笑いながらあたしの隣に並んだ服部は、前方を見て「あ」と声を零した。
「あれ、景山じゃん」
その声を辿るように視線を向けた先、今まさに校門をくぐろうとしている、ふたつの後ろ姿が目に入った。
あれは景山貴良と篠崎 亜由だ。
あたし達なんか比べ物にならないくらい、校内で最も疑惑を持たれている組み合わせだろう。
こうして2人で帰ってるところも数え切れないほど目にしてきた。
「やっぱ景山と篠崎って付き合ってんのかな〜」
ぽつりと落とされた服部の呟きに「さあ、どうだろーね?」と適当に相槌を打つ。
「でも景山の奴、他にも女いんだろ?」
「そーなの?」
「え、知らねえ?なんか車持ちのすっげえ美人と密会してるって聞いたけど」
…密会て。言い方。
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