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そんな服部に「うるさい」とだけ声を返して、またジョッキを傾ける。
ごくごくと一気にそれを飲み干せば、ジョッキから口を離したと同時にぐわんと頭が揺れた気がした。
テーブルに頰をぴとりとくっつけるように突っ伏しながらも、視線は数メートル先にいる貴良と篠崎さんの姿をちゃっかり捉えてしまう。
楽しそうに談笑しながら、篠崎さんが手を伸ばして貴良の髪に触れる。
「……」
どこをどう見たってお似合いだ。
あたしなんかより、ずっと。
いいなぁ、って。
そんな呟きが心の中で零れ落ちて、重くなった瞼を下ろす。
その瞬間に、“あの日”の記憶が脳内に流れ込んできた。
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