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カサカサという音が聞こえた後、下着が引っかかったままの太腿がぐっと持ち上げられる。
次いで中心に熱いそれが充てがわれて、咄嗟に口を開いた。
「まっ、待って…!」
咄嗟に伸ばした手でその厚い胸を押し返す。
「やっぱりむり…っ、」
急に襲いかかってきた恐怖に泣きそうになりながら、ふるふると首を横に振った。
貴良のそれを見て、無理無理そんなの入んないって怖くなったのかもしれないし、そうじゃなくて、もっと気持ちの方の問題だったのかもしれない。
こんな事しちゃったらもう元には戻れないって、そういう実感が恐怖に変わったのかもしれない。
どちらなのかは分からないまま駄々っ子のように首を横に振っていたあたしの顔が、大きな手にがしりと掴むように固定された。
「今更やめるとか、無理だろ」
「…っ」
落ちてきたのは有無を言わさないくらいの低い声と、鋭い眼差し。
カーテンの隙間から差し込む赤い日差しに照らされた貴良の顔は、紛れもなく欲情している男の顔で。
こんな状況なのに胸がきゅうっと締め付けられてしまうんだから、あたしって本当に、救いようのない馬鹿だと思った。
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