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「あとS高の美少女を家に上げてるってのも聞いたことある」
「へぇー」
「やっぱ景山くらい顔が整ってりゃ そりゃあ引く手数多だわな。女取っ替え引っ替えしてるって聞いても“だろうな”としか思わねーもん」
今日も今日とて景山貴良の周りにはろくでもない噂が付き纏っている。
「てかお前、景山と仲良いんだろ?」
ふいに投げかけられた質問に、考えるように少しだけ間を置いた。
「仲良いっていうか、家が近いから小さい時から知ってるってだけ」
「じゃあ車持ちの美女とかS高の美少女の話し聞いたことねーの?」
「ないけど…」
ぴたり、思わず足を止めてしまった。
つられるみたいに同じように足を止めた服部が「ないけど、なに?」と先を促してくる。
視線を上げた先に、篠崎さんと並んで歩いていたあいつの姿はもうなくて。
「…貴良は、女を取っ替え引っ替えするような奴じゃないよ」
どうしてもホッとしてしまう自分が、今日も変わらず、少しいやだなと思った。
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