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こんな安っぽい言葉をさっき貴良に向けてしまったのかと思うともっと笑えて、それで、なんだかもう消えてしまいたくなった。
「いーよ」
「……」
「どっか行こうか、服部」
突っ伏していた上体をむくりと起こして口角を持ち上げながらそう言えば、自分から誘ってきたくせに固まってしまった服部を見て思わず笑ってしまった。
「笑うなよ」
「ふふ、ごめんごめん」
口先だけで謝ったあたしの腰に服部の腕が絡みつく。
そのまま誘導するようにぐっと力が加わり、立ち上がると共にその首元に腕を回した。
未だに良い雰囲気を漂わせながら談笑する貴良と篠崎さんの姿が最後に視界を掠めたけど、掻き消すように瞼を閉じた。
「……」
多分あたしには、こういうシチュエーションが合ってる。
同窓会で久しぶりに再会したチャラい同級生と、泥酔した勢いでやっちゃうみたいな、そういう安っぽくてありふれたシチュエーションが、笑えるくらい合ってる。
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