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せっかくのドレスが汚れるかもとか、砂利が食い込んで痛いとか、もうこの時ばかりはそんな事、果てしなくどうでもよかった。 「はは…、なんだ…そういうこと…」 お母さんって。 そっか、そりゃそうだ。 誰かに頼まれでもしないと、貴良があたしのこと追いかけてくるわけないもん。 なのにあたしったら、“もしかして”とか思っちゃって、めちゃくちゃ期待しちゃって、馬鹿みたい。 おかしくてたまらないのに、顔は笑ってるのに、目からはポロポロと涙が零れちゃって。 そんなあたしと視線を合わせるようにその場にしゃがみ込んだ貴良は、微かに眉を寄せた。 「なんで泣いてんの?」 「なんでって貴良がびっくりさせるからじゃん。もうほんとびっくりしたんだから、やめてよ〜」 あははって笑いながら、落ちてくる涙を手の甲で拭う。 いつまでも溢れてきそうなそれを無理やり引っ込めて、深く息を吸って。 にっこりと頰を持ち上げて、貴良を見据えた。 「帰ろっか」 「……」 「多分お母さん、めちゃくちゃご馳走作って待ってると思う」
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