11/15
前へ
/90ページ
次へ
「お前“むり”って言ってたのに、すげえ泣いてたのに…なのに俺、理性ぶっ飛んでて やめてやれなかったし」 「……」 「怖い思い、させたんじゃねーかなって」 そんなこと思ってたの?って、そう聞きたいのに、喉に何かが詰まったみたいに苦しくて、声が出てこない。 そんなあたしを他所に、貴良は再びぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。 「なのにお前、いつのまにか服部と出て行ってるし。もしかして俺とのことなんてもう覚えてねーの?もう思い出せないくらい他の男とやってんの?」 貴良からこんなにも質問攻めされる事はもちろん初めてで、正直なにがなんだかよく分からない。 「え、えと」と口を開こうとしたものの「ムカつくんだけど」という低い声に遮られてしまった。 「俺は、誰ともできねーのに」 「…え?貴良、“あれ”以来 誰ともしてないの?」 「…うん」 「ほ、本気で言ってる…?」 「なんだよその引いた顔」
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

154人が本棚に入れています
本棚に追加