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「お前“むり”って言ってたのに、すげえ泣いてたのに…なのに俺、理性ぶっ飛んでて やめてやれなかったし」
「……」
「怖い思い、させたんじゃねーかなって」
そんなこと思ってたの?って、そう聞きたいのに、喉に何かが詰まったみたいに苦しくて、声が出てこない。
そんなあたしを他所に、貴良は再びぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
「なのにお前、いつのまにか服部と出て行ってるし。もしかして俺とのことなんてもう覚えてねーの?もう思い出せないくらい他の男とやってんの?」
貴良からこんなにも質問攻めされる事はもちろん初めてで、正直なにがなんだかよく分からない。
「え、えと」と口を開こうとしたものの「ムカつくんだけど」という低い声に遮られてしまった。
「俺は、誰ともできねーのに」
「…え?貴良、“あれ”以来 誰ともしてないの?」
「…うん」
「ほ、本気で言ってる…?」
「なんだよその引いた顔」
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