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「じゃーなんでいつもいつも仁木うららを基準に女の評価つけてたわけ?」
評価って…。
人聞きの悪い言い方だな、と思いながらもゆっくりと開口した。
「…多分だけど」
「うん」
「うららが唯一、近い存在だったから…だと思う」
自信なさげに言葉を紡いだ俺に悠馬は「ふぅん」と相槌を打つ。
「じゃあ好きとかじゃねーんだ?」
「……」
その“好き”っていうのが俺にはよく分からない。
逃げるように手元のコーラに手を伸ばしながら、これまた自信なさげに小さく頷けば悠馬はまた「ふぅん」と抑揚のない声を返して、すぐに言葉を続けた。
「なのに俺があげたゴムはちゃっかり仁木に使っちゃったわけね?」
「っ!」
思いもよらぬ事を当然のように言われて、危うく口の中のコーラを噴き出すところだった。
悠馬にもそれ以外の奴にもその事を言った覚えはないし、これから先も絶対に言うつもりもなかった。
…なのになんでこいつ、知ってんだ?
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