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ゲホゲホと噎せ返る俺を見つめる悠馬はストローを咥えたまま、にぃっと口角を上げる。
本当にこの男は、馬鹿そうに見えるけど侮れない。今 再確認した。
「んで?どうだった?“初めて”の感想は」
にやにやという表現がぴったりな笑みを貼り付けてはそう聞いてくる悠馬に溜め息をひとつ零す。
「…別に」
「別にってなんだよ、もっと他にあるだろ?サイコー!とか、キモチー!とかさぁ」
何故かひとりで盛り上がっている悠馬をちらりと一瞥してから、グラスの中ですっかり小さくなった氷をストローでカラン、と回す。
そして、
「…あんま、思い出したくねえ」
多分あいつの方がよっぽどそう思ってるに違いない言葉を溜め息と一緒に吐き出した。
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