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ふわふわの猫っ毛はいつ見ても柔らかそう。 伏し目がちになっているその目蓋を縁取る睫毛は羨ましいほどにふさふさだ。 漫画のページを捲る手は、骨張っているのにごつくなくて、男にしては綺麗だなっていつも思う。 「ねえ、貴良(たから)」 名前を呼べば、ちらりと目だけを遣ってあたしを見た。 「あんたさ、S高の美少女 家に上げてんの?」 咥えていたポッキーをぽりっと齧りながら、ついさっき仕入れた情報をそのまま問いとして投げかければ、貴良はその形の良い眉を歪ませた。 声には出してないけど“はあ?”って言っているような表情だ。 「S高の美少女って、誰だよそれ」 「いやあたしに聞かれても知らないよ。なんか噂回ってるらしいけど、心当たりないの?」 貴良は静かに目を伏せて、首の後ろに手を当てた。 考えてる時に出る貴良の癖だ。多分、小学生の頃から変わってない。テストの最中とか、ずっとこうしていたりする。
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