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「お〜い貴良、飲んでるかあ!?」
いきなり鼓膜を突いた大きな声にトリップしていた意識がハッと戻ってくる。
ぐわしっと肩に腕を回してきたのは同じ大学の奴だ。ぼうっとしていたけど今は同じ科の仲良い奴らで集まって、駅前の居酒屋で打ち上げをしている最中だった。
回された腕をやんわりと解きながら「飲んでるよ」と適当に返事を返す。
しつこく勧められたから渋々コーラ味の酎ハイを飲んでみたけど、やっぱり俺の口にアルコールは合わないらしい。
まだグラスの半分も減っていないというのに早くも頭痛がしてきたし、なんだか頭もぼうっとする。
「もお〜やめなよ!貴良くん嫌がってるじゃん!」
そんな声と共に俺とそいつの間に女の子が割って入ってきた。
この子も同じ科だけど…えっと、名前なんだったっけ。
「貴良くん、だいじょーぶ?」
…てか、当たり前のように下の名前で呼んできてるけど、そんなに話した事あったっけ。
なんとか口角を上げて「あー…うん」と相槌を打つものの、鼻先をツンと刺激してくるキツい匂いに余計に頭がガンガンする。
香水つけすぎじゃねえか?
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