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土曜のこんな朝早くだ。
多分…というかほぼ確実に寝てるんだろう。
そう気づいていながらも、自分の指は馬鹿のひとつ覚えのように再びその名前をタップしていた。
「……」
我儘だなって笑われてもいい。
今すぐ、声が聞きたくて仕方ない。
そして何回目か分からないコール音がようやくプツリと切れたと思えば、すぐさまガタッ、ゴトッという音が立て続けに響いた。
「…うらら?」
『っわ、あっと!っはい、はい!もしもしっ?』
相も変わらず落ち着きのない様子に自然と口元が緩んでしまう。
「なに今の音。何してんの?」
『ちょっと手が滑ってスマホ落としちゃって…へへ』
「あーなるほど。てかうらら、起きてた?」
『…うん、まあ…起きてたような、寝てたような…?』
返ってきた言葉に「なんだよそれ」と、笑みが零れた。
こいつと話していると、どんなに気分が落ち込んでいる時でも気づけば自然と笑えているから不思議だ。
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