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『ていうか、貴良こそどうしたの?』
「なにが?」
『や、だってこんな朝早くに電話なんて…なんかあったのかなって』
「……」
ただ声が聴きたかっただけ、だなんて口が裂けても言えるわけもなく。「別に…」と素っ気ない返答をしてしまったのにも関わらず、機械越しからは『ふふ、』と可愛らしい笑い声が響いた。
『まあでもあたしとしてはラッキーだけどね。朝から貴良の声が聞けちゃうなんて最高!』
「……」
よく恥ずかしげもなくそんな事を言えるよな、と思う。
今も尚、機械越しから響いてくる嬉しそうな声に耳を傾けながら、すっかり熱を帯びてしまった顔を隠すように腕で目元を覆った。
同窓会のあの日。
あの後うららの家まで直行した俺たちは案の定酔っ払ったうららの母さんに捕まり、夜中までどんちゃん騒ぎのような時間が続いた。
俺も少量だけどほぼ無理やり飲まされたし、うららに至っては潰されるまで飲まされて…まあ簡潔に言えば全員飲み潰れてしまい、いつの間にか夜は明け、俺はそのまま東京に帰ってきた。
そしてそこから2週間という月日が経った。
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