154人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
次のポッキーを口に運んだと同時、貴良は「あ」と小さく声を零した。
「塾おなじだった子かも」
「ふぅん?家に上げたの?」
「いや、一回いっしょに帰っただけ」
「ふぅーーーーん?」
わざとらしいほどに語尾を伸ばしたあたしに、目の前の男はますます眉を寄せる。
「なんだよその反応」
「本当なのかな〜って疑ってる反応?」
「あっそ」
淡白にそう返してはすぐさま漫画に視線を戻す。あたしはというとまた次のポッキーを摘みながら、再び口を開いた。
「なんせ景山貴良くんは女を取っ替え引っ替えしてるらしいし?」
あたしのその言葉に今度こそ「はあ?」と声を出した貴良はその嫌味なほどに整った顔を盛大に歪めた。
「噂によると、車持ちのすっごい美人と密会しているらしいのですが?」
「またそれかよ。どうせ成海のことだろ」
成海とは貴良の従姉妹の事だ。
あたし達より7つ年上で、それはもうすごく美人。グラマーな女性って感じ。
貴良は実年齢よりも大人びているように見えるから、2人が並んで歩いているとほぼ100%の確率でカップルに間違われる。
最初のコメントを投稿しよう!