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次のポッキーを口に運んだと同時、貴良は「あ」と小さく声を零した。 「塾おなじだった子かも」 「ふぅん?家に上げたの?」 「いや、一回いっしょに帰っただけ」 「ふぅーーーーん?」 わざとらしいほどに語尾を伸ばしたあたしに、目の前の男はますます眉を寄せる。 「なんだよその反応」 「本当なのかな〜って疑ってる反応?」 「あっそ」 淡白にそう返してはすぐさま漫画に視線を戻す。あたしはというとまた次のポッキーを摘みながら、再び口を開いた。 「なんせ景山貴良くんは女を取っ替え引っ替えしてるらしいし?」 あたしのその言葉に今度こそ「はあ?」と声を出した貴良はその嫌味なほどに整った顔を盛大に歪めた。 「噂によると、車持ちのすっごい美人と密会しているらしいのですが?」 「またそれかよ。どうせ成海(なるみ)のことだろ」 成海とは貴良の従姉妹(いとこ)の事だ。 あたし達より7つ年上で、それはもうすごく美人。グラマーな女性って感じ。 貴良は実年齢よりも大人びているように見えるから、2人が並んで歩いているとほぼ100%の確率でカップルに間違われる。
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