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「っ貴良」
その先に居た人物を見た瞬間、抱き着こうとしたけれど、あたしが抱き着くよりも貴良のその腕にがばりと抱き締められる方が早かった。
「……会えねえかと思った」
「…っ」
絞り出すような声が耳を掠めて、目頭が焼けるように熱くなった。
ぎゅうぅ、と痛いくらいに抱き締められる。
苦しいのに、心地いい。
貴良だ。
本当に、貴良がいる。
実感すればするほど感情と一緒に涙が込み上げてくる。もう半分くらいは諦めてたから余計に嬉しくて。
「うぅ〜…っ、貴良」
「……」
「すごく会いたかっ、──っんぅ!?」
いきなり、本当にいきなり。
まるで噛み付くようなキスが落ちてきて、驚きで目を見開いたのも束の間。
「っふ、…うぅ〜…っ」
すぐに唇の隙間を割って入ってきた熱い舌に、ぞわぞわと背筋が痺れて、貴良の服をぎゅっと握りながら、きつく目を閉じた。
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