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いきなりの質問に驚いているのか、目を丸くしている貴良に言葉を続ける。
「なんか…“初めて”だったから盛り上がっちゃった、みたいなパターンあるじゃん」
「……」
「それを恋情だって勘違いしてるんじゃないかな、って…」
自分で言っててなんだか虚しくなってきて、尻すぼみするように声が小さくなっていく。
無意識のうちに視線も下降していくあたしを逃がさないとでもいうように、頬に添えられた貴良の手にくい、っと上を向かされた。
「“初めて”だから盛り上がっただけなんじゃねーかとか、ただの思い違いなんじゃねーかとか、そういう事ならもう数え切れないくらい考えた」
「……」
「手っ取り早く他の女と試してみようかと思った事もあったけど、無理だった」
「……」
「言ったろ、お前以外とできねえって」
優しい力で押されて、そのままポスン、とベッドに押し倒された。
此方をじっと見つめる貴良の頬はほんのりと赤く染まっていて、それが寒さからくるものだけじゃない事を願った。
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