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「あら? もう一人、パーティーに参加したい人がいるみたいね?」 「歓迎したろやないかい」  緊張と同じくらい、二人がわくわくしているのが伝わってくる。芽里衣は笑顔で肩にかかる髪を優雅に払い、花ちゃんは目を輝かせて指をポキポキ鳴らした。  誰が来ようと、この二人と一緒なら恐るるに足りない。 「私も! 手伝う!」  闇に沈んだ世界から、彼女を明るいところに引きずり出してあげよう。二人が1年前、私にしてくれたみたいに。  マスクの下の唇を引き結び、姿見の前に足を運んだ。ガラスの向こうから、私に似た長い黒髪の女がじっとりと暗い目で睨んでくる。  私はごくりと唾を飲み込み、営業スマイルを作った。マスク越しでもはっきりと聞こえるように、大きく息を吸い込んで。 「こんばんは! もっと明るく生きませんか?」 【了】
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