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 朝、起きた時、二人はベッドの中で睦言を交わすまでになっていた。仁の心が反映したのだろう、玲子は高木を誠実で優しい人として捉え、誠実で優しい人が本当に好きな男になったのだ。  彼女は窓から差す朝陽がどれだけ明るく暖かく感じたことか、それは金では到底、買うことが出来ない希望の光であり幸福の光であった。しかし、その光は儚かった。高木と一緒になることをパパが許す筈がないと玲子は一旦、諦めたのだ。もし、高木との肉体関係がばれたら自分は喝破され、高木は解雇されるに違いないと思うと、彼女は急に泣き出した。で、「どうしたんだい?」と高木は問うと、「このことはパパには絶対内緒にしなきゃ駄目だわ」と玲子が涙ながらに言うので、「そうか、所詮、叶わぬ恋か」と溜息交じりに呟いた。  暫く分厚い黒雲が二人に被さったように暗く重い空気が流れた後、「でも・・・」と玲子は思い直して泣き止んだ。「パパは幸行さんも幸行さんの絵も大好きなの。だから・・・」  一縷の望みを見出そうとする玲子の気持ちを察して高木は一転、力強く言った。 「俺、新藤さんの恩に報いる為にも世間にも認められる絵を描いて見せる!そして玲子ちゃんをものにして見せる!」  すると、「幸行さん!」と玲子が明るく叫び、「玲子ちゃん!」と高木も明るく叫び、抱擁を求め合った二人は、再び熱く一つになるのだった。
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