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四月二日 勿忘草
拝啓
鬱陶しくもある僕の心を
それとなく勿忘草をむしることで
告げる君はとてつもなく残酷で
郷里へと帰りてその花を愛でる僕はやはり鬱陶しいのだろう
敬具
四月二日
僕はその手紙に封をして机の中へとしまった。
彼女は川に落ちてこの花をつかんで
岸に上がろうとしたが、そのまま流されてしまったからだ。
勿忘草。この花は棺の中に飾られた。
了
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