第十七話 野草?夜襲!

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第十七話 野草?夜襲!

 すっかり寝静まった夜。  ノノは息苦しさで目が覚めた。 「く、苦しい」  顔に柔らかく大きな塊が押し付けられている。  気が付くと、天母様に抱きつかれていた。 「ちょ、ちょっと、天母様。苦しいよ。私抱き枕じゃないんだから」 「ううん、いいじゃない。もうちょっと抱かせてえ、むにゃむにゃ。。。。。」 「もう、しょうがないな」  ノノはもう少し我慢する事にした。  と、その時、突然外の鳴子が鳴り出した。  カラカラカラカラ 「天母様、起きて。夜襲ですよ」 「むにゃむにゃ。。。ええ。。。野草???」 「なに寝ぼけてんの。夜襲です。野武士が来ました」 「え、夜襲っ!」  やっと起きた天母様とノノが境内に駆け付けると、倒れている二人の野武士とその横に立っている元の助がいた。  元の助は刀を抜いていた。  天母様が声を掛けた。 「元ちゃん。この人達は?」 「野武士です。夜襲です」 「二人だけ?」 「おそらく」 「殺しちゃったの?」 「いえ、気絶させただけです」  天母様とノノはほっと胸をなでおろした。  ノノが天母様に尋ねた。 「陣三郎君をさらいに来たのかな」 「たぶんそうね」 「この二人どうする?」 「そうね。縛り付けておきましょう」 (縛るの好きだなあ、この人)  二人の野武士は土蔵の柱に縛り付けられた。  元ちゃんと同じ様に。  反省部屋だろうか、ここは。  翌日、天母様の元に再び使者が来た。  境内に現れた彼は下半身がウンコまみれだった。  きっと落とし穴に落ちたのだろう。 (可哀想に……)  ウンコまみれの使者は気丈にも天母様に口上を述べ始めた。 「此度の我々の襲撃を駆逐した件については、我らが頭は非常に称賛されている。よって、この村に襲撃することは今後はやらない事を約束する。それで、条件であるが、村人の陣三郎殿と直接話がしたいと申しておられる。よろしいか」  陣三郎君を直接説得しようという算段らしい。  つまりスカウトだ。  天母様は腕を組んで答えた。 「ちょっと何なのその言い方。人にものを頼むんなら頼み方ってあるでしょ」 「もし断るのなら、こちらにも考えがあるが」 「なにそれ。脅しのつもり?」  天母様にしてはめずらしく語気が荒い。  その時、向こうから陣三郎君の声が聞こえてきた。 「天母様。おらは構わねえ」 「陣三郎君。いいの?」 「大丈夫だ。おら、この村を出たいなんて微塵も思ってねえ」 「陣三郎君」  天母様は少し考えて答えた。 「わかったわ。陣三郎君と直接話してもいいわ。その代わり、場所はここの本殿よ。いいわね」 「わかった。その旨頭に伝え置く」  そう言って、境内から出ていこうとした使者を天母様は呼び止めた。 「ちょっと待って、忘れ者よ。もってきなさい」  といって土蔵から出された二人の野武士を指さした。  使者は二人を連れて境内から出ていった。  ドスン、バシャン!  また穴に落ちた様だ。
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