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第五話 吸って
ノノと十兵衛が牛乳を持って帰ると、お静さんは火を起こして待っていた。
ノノは早速桶の牛乳を鍋にあけ、火にかけて一度沸騰させた。そしてそれを水で冷やし、人肌まで冷ました。
ノノはその牛乳で自分の小指を湿らせ、それを赤ちゃんの口元に持って行った。
赤ちゃんの呼吸はだいぶ薄くなっている。
(お願い、吸って)
赤ちゃんはしばらく動かなかったが、唇に付いた牛乳が口の中に入ると口をパクパクさせ、ノノの小指を吸い始めた。
(やった。この子助かる)
それからはお静さんが少しづつ牛乳を与え、赤ちゃんは満腹になったのか、眠りに就いた。最初とは顔色が全く違う、血色もよくなって文字通りの赤ちゃんになった。
ノノは優しい表情で赤ちゃんを抱いているお静さんに言った。
「もう、大丈夫だね」
「ノノちゃんありがとう。なんてお礼を言っていいのか」
「そんなのいいよ。それより、明日から、どうすれば……zzz」
ノノは安心したのか、そのままコテンと眠りに就いた。
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