ヌメヌメ 天国 

1/1
前へ
/1ページ
次へ
僕は君を見ているだけで幸せだった。 ※『私に触ふれないで......きっと貴方を傷つける。』 君はそう言いたげに頑なに僕を避けた。 僕達はガラス越しで見つめあう 言葉はいらない 確かに心は通じ合っていたから 僕達は永遠だと思っていた。 お互いを思いやる変わらぬ日々に 終わりなど来る事はないと だが、、ある日 僕が仕事から帰ると 君は消えていた 朝出て行く前は いつもどうりだったのに 何故だ 何故だ 僕は君を探した 葉の裏を一枚ずつすべて 床に並べて隅から隅まで だけど君は 何処にも いない 『ありがとう』 僕の隣の床に転がる  君がいたガラスケースから  突然伝わってきた優しい想い 「ナメコ!!」 僕はバッと勢いよくケースをつかんだ そこに書かれた彼女からのメッセージ 小さなハートの形 彼女の心を込めたヌメヌメの愛の証が キラキラ光に反射して輝いていた。 ※ ナメクジにはあまり素手で触らない様、または触った後はよく手を洗いましょう。詳しくは各自お調べ下さい。 ※ ナメクジの寿命は2年だそうです。 ナメコさんは幸せなナメ生を終えました。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加