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もらったチョコレートは、一つずつ大切に食べた。なくなってしまうのが寂しくて泣く泣く口に入れた。味わっていると本当に涙が出てきそうになった。
おそらく手作りだと思われるが、見た目も味も綺麗だった。感慨でどうにかなってるんだろうけど、人生で一番おいしいチョコレートに感じた。
さすがに四つ目を食べるころには、温かい感謝の気持ちだけという訳にはいかず、色々と現実的なことも頭に浮かんでくる。
まず考えてしまうのは、これを送った人が誰なのかということだ。単なる好奇心以上に、知りたい理由があった。それは、「お返し」をしたかったからだ。
なんとかしてこの感謝の気持ちを伝えたかった。できることなら、ホワイトデーにお菓子を送るという形で。しかし、送り主が誰かわからないんじゃどうしようもない。諦めるしかないのだ。
最後のチョコレートの後味は、心なしかちょっぴり苦かった。
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