2020春。「瀬戸内16号不気味な男編」

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2020春。「瀬戸内16号不気味な男編」

その男は車両最後部で鎮座していた。 時折窓ガラスに不気味な笑みを写している。 転勤により、俺は今 汽車で通勤している。 松山発ー宇和島行き 瀬戸内16号に揺られている。 ガタタン ゴトン ガタタン ゴトン  ディーゼル汽車は行く 変わらず非常に乗り心地が悪い! 程なくして、車掌が現れてこう言う 切符拝見いたしゃまーす!ご協力お願いしゃーす。 独特の発音…自分に酔いしれている様子だった。 ハイありがとうぎょざいーす ハイありがとうぎょざいーす 両足に力を込め、揺れる車内でバランスをとりながら、ジワジワ…と近づく。 妙な手つきで切符を…確認している。 また少しずつ、少しずつ、こちらに…不気味に笑う男に近づく… 奴とは通路を挟んだ反対側に座り様子を伺っている 切符拝見しゃーす 来た!
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