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『掲示板の乱立は、他の方の掲示板が埋もれてしまう原因になります。自分がやられたら嫌なことをやってはいけませんよ。そもそも私が通報したところで、運営さんが“正当な通報ではない”とみなしたらまず受理されません。受理されたのであれば、運営の目から見てもあなたの行為が荒らしだったからですよ』
『やっぱり通報してたんじゃない、ムカつく!私は読んで欲しいだけです、それの何がいけないの?頑張って書いたのに、面白いはずなのにみんな読んでくれない。掲示板立てたのに誰も感想くれない。それをどうにかしようと私なりに努力しただけなのに、そんな風に言われる覚えないです!』
『あなたが努力してないなんて言ってません。努力の方向性が間違っていると言ってるんです』
『方向性って何よ』
『褒め言葉だけ求めて、自分の難点や間違いを認める勇気がないことですよ』
読まれない、感想が貰えない。無自覚に、苛立ちを“さくら”にぶつけていた。最後の言葉が来るころには、無意識にイライラと机の下で足を踏み鳴らしていた自分に気づく。
『はっきり言います。もし、あなたの作品があなたが思っている通りに面白いだけの作品なら。貴方の作品は、もっと評価されていると思いませんか?少なくとも最後まで読んで貰えているでしょう?……読んでも“良い”と思える点だけを上手に上げられる自信がなかったら誰も感想が書けません。褒め言葉だけ求めるようなことを言うからそうなるんです』
図星だった。確かに――もし本当に涼音が思った通りに読者の心を動かせているのなら。見に来た人がかたっぱしから序盤でいなくなってしまう、なんて事態にはなっていないことだろう。
だからって、自分の作品が実は全然面白くないかもしれないとか、自分には小説の才能がないかもしれないなんて認められるはずもない。子供の頃から作文では褒められてきたし、現代文の授業ではいつも良い成績を収めてきた自分だ。小説の才能がないはずがない、小説ならみんなに認められるはず――その認識は、そう簡単に崩せるはずもない。
というか。それを否定されたらもう、涼音には何も残っていないのである。美人でもなく、運動神経も良くなく、彼氏もいなければ友達も多くない、取り柄と呼べる取り柄など他に何もないというのに。
『……あんたは、私の心を折りたいの?』
つい、本心を吐露していた。
『私にとって唯一できることなんか小説しかないのに、私にとってはそれしかないのにそれを否定するんですか?私の気持ちなんか何も知らないくせに、そんなこと言う権利があなたにあるんですか?』
『そうですね、知ったことではありません。私は貴方に対してはいち“読者”でしかないので』
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