1人が本棚に入れています
本棚に追加
縁側で。三年生のときだ。
四月にばあちゃんが死んだ年で、じいちゃんも俺も元気がなかった。だから、よくふたりでいっしょにいた。
「イサ」
「ん?」
「おれは、あの花火、ばあちゃんも見てると思うぞ」
「なんで?」
「空に上がってるだろ」
「うん」
「天国からも見える」
「へええ」
「バーッて、でっかいからメガネがなくてもよぉく見える」
「持ってかなかったんだ、ばあちゃん」
「持ってけねえんだ」
「ふうん」
わかるような、わからないようなだ。じいちゃんは時々まじめな顔をして、よくわからないことを言った。それでも俺はじいちゃんといると安心した。
最初のコメントを投稿しよう!