スマホが壊れた日

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 スマホを壊す日の前夜。  電子音が鳴り、テーブルに置いてあるスマホが震えた。  俺は、左手でスマホを手に取り、メッセージを読む。友人からだった。そのまま返事の文面をフリック入力していく。俺は右利きだが、その右手は箸を握って、俺の口に食べ物を運ぶのに忙しい。  すると唐突に、俺の頭にゴツンと拳骨が振り落とされた。  頭を押さえながら、横手に立つ母親を睨む。母は、腰に手を当て、仁王立ちをしていた。 「ご飯の時くらい携帯から目を離しな」  うるさいな、と投げやりに俺は返す。イライラがおさまらない。  反抗期は困ったもんだね、と母は、ため息をつくが、俺の感情の奔流をそんな言葉ひとつで片付けないでほしい。  俺は、ひりひりする頭をさすりながら、スマホをまた手元に戻して、友人と連絡を取りながら、その日の夕食を平らげた。  ごちそうさまも言う気になれず、無言で茶碗や皿を台所の流し台に置いて、自分の部屋に戻った。
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