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「嫉妬深いんだね、陽介くんの恋人は相変わらず。」
視界の端っこで蝋燭の炎が空気抵抗もなく煌々と真っ直ぐ立つのを確認しながら僕は言った。
「そこはアイツの想い人とそっくりだよなー。ムカつくんだよアイツ。」
それに対し陽介くんは自虐的に笑い飛ばしながらそんな返事を返す。
陽介くんはもう8年近く、不毛な恋をしていた。
「でもやる事やって発散し合ってるんでしょ。風呂で臭い消したつもりでも僕分かるんだから。」
恋人には陽介くんと知り合うずっと前から想い人が居て、その恋が実らない心の穴を陽介くんで埋めているのだそうだ。
だから陽介くんもそれを分かってて恋人と生活をして、互いの恋心をベッドの上で流し合うんだと……以前彼がそう言っていたのを思い出す。
「アイツの機嫌が良かったから昨夜してやっただけだよ。毎日じゃない。」
「それで陽介くんが腰振ってる最中、恋人は別の男の名前を呼びながら意識を飛ばすんでしょ。最低じゃん。
いい加減別れちゃえばいいのに。」
「お前はアイツの良さを知らないから簡単に言うんだよ。」
女性らしい小物や趣味をよく知っていて、背が高くてスタイルが良くて美人だと陽介くんから聞かされている。曰く「見た目が最高過ぎて最低な部分が見えなくなる」らしい。
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