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すると、山崎さんは深く息を吐いて項垂れてしまった。
「もしかして、嫉妬されたいのですか?」
「……悪いか?」
「男性というのは嫉妬や束縛を嫌うものなのかと」
「ああ、嫌いだったな」
「では……」
「莉緒にはされたい。しろよ、嫉妬」
長めの前髪の間からこちらをちらりと見る素振りがなんだか可愛く思えて、思わず笑ってしまった。
「何笑ってんだ」
「いえ、可愛いな、と」
「は? お前……」
「きゃ……!」
ソファの上に押し倒され、視界に影が落ちた。
「どこが可愛いって?」
山崎さんはそう言って獲物を捕らえる捕食者のような目つきで私を見るけれど、私は怯えることなく、彼の首へ両手を回し、その唇へと軽くキスをした。
「……可愛いですよ、山崎さんは。それと、ちゃんと嫉妬もしてますし、独占欲もあります。実は今日山崎さんが以前にも増してモテているという話を加藤さんから聞いたんです。ショックで持っていたマカロンを落としました。夕方ここへ来た菫さんにも、相談しました。正直、焦りました」
今度は山崎さんが鳩が豆鉄砲を食ったような表情で固まっている。
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