9.エピローグ・Cant' be ignored

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 そうは言われたものの、山崎さんへ何と言えばいいのだろう。だって山崎さんは何も悪いことをしていないのに、女子社員にそういう目で見られないで欲しい? そんな事言われても困るだけじゃないか。  やはり、ここは無視するに限る。  そうだ、私はこの話を聞かなかったことにすればいいのだ。  と、思っていたのだが。 「既婚者がモテるって本当だったんだな。当社比で1.5倍はモテてるわ」  まさかの本人からカミングアウトされるパターンだった。ちなみに今はリビングのソファにて夕食後の晩酌タイムである。ちなみに私は念の為にノンアルコールのものにしている。 「どうした、鳩が豆鉄砲を食ったような顔して」 「いえ……まさか自分からそういう事を言ってくるとは思ってもみなかったもので」 「で、聞いてどう思う?」 「どう思う、とは? 自慢にしか聞こえませんが」  私がそう答えると、山崎さんは深いため息を吐き出した。 「お前さ、俺のこと好きって言うわりには妬いたりとかしないよな。俺は子どもみたいな感情曝け出してるっていうのに」 「自覚があったとは驚きです。というか今更ですよ。山崎さんが女性に言い寄られる度に気にしていたら身が持ちません」
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