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「そうじゃなあ。あれじゃあ、色恋にも影響があるだろう。しかし、こればっかりはどうしようもない」
二人が再度ハナの方に視線を向けると、彼女は左手にお皿が載ったお盆を持ち、さらに右手でテーブルを力強く拭いていた。
「ほら、すごい戦力でしょ。バイト2人分の馬力です」
「たしかに」老人が頷く
しばらく二人が少し悲しそうな目でハナを見ていると、逆に彼女が泰造と老人を睨みつけ、耳に指をあてて「聞こえてますよ」と合図した。
「あちゃー聞こえてたみたいだ。また、後で怒られる。あいつ、仕事中は、注文の声を聞き逃さないように耳もでかくなるんですよ」
「すごいもんじゃ、ハナちゃんは。さて、ご馳走様でした」
老人はチャーハンを食べ終わるとカウンターに700円を置いてゆっくり席を立った。そして、帰り際、入口近くでハナに「あんまり、頑張りすぎるなよ。ハナちゃんはまだ若いんだから、少しくらい好きなことをやったっていいんだぞ」と声をかけた。
「オジチャン、ありがとう。でも心配しなくても大丈夫。私は好きでこのお店を手伝ってるだけ」ハナは笑ってそう答えると、来店したお客を空いている席に案内し始めた。
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