戦隊ヒーローに憧れる白鳥ハナが地球を守る仕事に就きましたけど!(就職編)

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 午後2時、白鳥中華料理店が昼の営業を終了している時だった。床を掃除していたハナが両親に呼ばれた。  泰造は気まずそうな表情で話を始めた。 「あのな、もう少ししたらお前の所にお客さんがくる。なんというか、役人だ」 「私、何も悪いことはしてない」ハナが間髪おかずに否定する。  先週、出前の帰り道、酔っぱらいに絡まれていた女性を助けたことがある。そのことに後ろめたさはない。アレは純粋に正義だった。ただ、アルミの「おかもち」で酔っぱらいを撃退した際に、少しだけ相手が流血していたような気がする。ほんの数cc。おかもちに付着した血液はきちんとふき取った。素性はバレていないはず。助けた女性に名前を聞かれたが、「名乗るほどの者ではありません」と答えた。本当は「名乗るほどの者ではありませんが、ホワイトバードとだけ言っておきましょう」と答えたかったが、それは心の中にしまっておいた。現場に身元が分かる痕跡は残していない。うん、絶対にバレてないはず。それとも、先月の事か?  ハナの頭の中で、過去の後ろめたい所業が巻き戻される。 「何をブツブツ言ってるの、ハナ?」父の隣にいた母が心配そうに声をかけた。
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