戦隊ヒーローに憧れる白鳥ハナが地球を守る仕事に就きましたけど!(就職編)

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 ハナのこれまでの人生の中で、外務省と縁のある出来事は一つもなかった。新大久保駅付近にこのお店がある関係で、中国人、韓国人、インド人、ベトナム人など、多国籍な知合いは沢山いるが、みんな直接外務省とは関係なさそうな連中ばかりである。ハナの周りにいる役人と言えば、警察官、保健所、新宿区役所職員くらいだ。 「ちょっと厄介な話だけど、しっかり協力するんだぞ。お店の事は心配しなくていいから」  両親はウンウンと首をゆっくり縦に振っているが、ハナは全くその意図が理解できなかった。 その時、店の前に車が止まりドアが開く音がした。 「来たようだな」  泰造は首にかけていたタオルで額の汗を拭きながら店の入口を開けた。 店の前には黒塗りのレクサスが停車していて、黒い大きなレイバンのサングラスをかけたスーツ姿の短髪の男が立っていた。明らかに洋物の高級スーツである。昼のランチを700円から提供している街の中華料理店にはミスマッチな姿だった。 「大門みたい」ハナが小声で言った。 「いやいや、マッカーサーみたい」同時に泰造も小声で言った。 「あんた達、早速失礼よ」最後に母も小声で言った。
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