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「こんにちは。先日、電話でお話させていただいた外務省の渡(わたり)です。今日はお忙しいなか、時間をとっていただきありがとうございます」男は自己紹介すると、丁寧な動作で名刺をさしだした。
そこには『外務省 地球防衛局 防衛室長 渡圭介』 と書かれていた。
泰造は「はじめまして。白鳥中華料理店の白鳥です。あいにく、名刺を切らしてまして」と自己紹介したが、ハナは泰造の名刺を今まで一度も見たことがない。
「ほらっ、やっぱり名前も大門だ」ハナが母の耳もとで囁いた。
「外で立ち話もなんですから、どうぞ、お店の中にお入りください」泰造は渡とそのお付きの男を店の中に案内した。
お店の中で一番大きなテーブル席に渡たちを座らせ、母はすぐに冷たい麦茶を持ってきた。
「ありがとうございます」そう言うと、渡は片手でサングラスを外してテーブルの上に置いた。ハナが渡の顔を見ると、そこには思っていたよりも人懐っこい顔があった。短髪とサングラスのせいで中年っぽく見えていたが、おそらく30歳代半から40代前半というところだろう。
「こちらがハナさんですね」
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