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②
呼吸が整う頃には、蓮くんはいつもの穏やかな表情を見せていた。でも少しだけ息が荒くて顔もふんわり赤くなっていて、それがどうしようもなく色っぽくて…好きだ。
そんな蓮くんの横顔に見惚れていると、目が合った。
セックスの時とは、違う優しい目付きの蓮くんだ。
「お風呂、先入っておいでよ。」
久々に会えたのだから、俺の中では一緒に風呂に入ってイチャイチャしてっていう流れだったのに、お互い風呂の前に賢者モードになるなんて。思わず、がっかりした顔をしてしまった。
「…一緒に入る?」
「えっ」
「え…あ…ごめん、そういう顔かと…思って。」
少し照れた様な焦った様な、そんな顔をして蓮くんはやっと着ていたシャツを脱ぎ始めた。175センチの身長に、綺麗な顔とは少し違った、程良く鍛えられた身体。肌荒れひとつない綺麗な肌、下着からちらりと覗く下半身のVラインが俺を再び発情させていきそうだ。
「ううん、一緒に入りたかった。」
下着だけを脱いで洗濯機に放り込む。
「そういえば、蓮くんもマジで禁欲してたの?二週間。」
「したよ。佑磨くんとの約束だもん。…そのせいでなんか暴走しちゃったんだけどね。」
「確かに今日の蓮くんは暴走してたわ。」
「もーっ、言わないで!」
二人並んで身体を洗いながら、笑い合った。
俺たちが最後に会ったのは丁度、二週間前だった。
禁欲という約束は蓮くんの提案だったのだけど、その意味の裏には独占欲みたいなものがあるようで嬉しかったんだ。別にそんな約束しなくても、蓮くん以外の相手なんていないんだけど。
でも、蓮くんには"相手"がいる。
だからどうせこんな約束、律儀に守るのはきっと俺だけで、蓮くんは俺の知らない所でその人にもあんな眼差しを向けているんだろうと言い聞かせていた。
だから、こんな風に茶化して笑ってはいるけど、内心は嬉し過ぎてしないと決めた筈の"期待"が浮かんでは消える。
「彼女、怒んないの?」
「怒ってはないけど、心配はしてると…思う。」
「俺となら秒で勃つのにね。」
「ちょ…っと、触っちゃだめ…」
「えーでも見て、俺もう復活してんだけど。」
25歳。俗に言うアラサーだというのに果てしない性欲があるみたいで恥ずかしかったけど、隠し切れないほど反り上がってしまえばそんなプライドはどうでも良くなった。だから、蓮くんの先端にソレを押し付けて、甘い息を漏らしてみる。
「ほら、蓮くんのも反応してる。」
「…だ!だめ!お風呂はお風呂!!」
「ケチ」
「ケチで良いもん」
「むー…本当にだめ?」
「…ッ、だ、だめ…今は…」
「じゃあお風呂出てからは?」
蓮くんに擦り付けながら完勃ちしたソレを軽く扱きながら問い掛けると、蓮くんはウブな顔をして頷く。その顔が、本当に愛おしくて俺は下から顔を覗き込んで、何度かキスをしてみた。
何度目かの、こんな夜だ。
相変わらず、慣れないな。
幸せ過ぎてさ。
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