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光のない目※
そんな蓮くんとの性欲から始まった思い出に浸っていると、冷たいシャワーが顔にかけられた。
「何考えてるの?」
「んー?…蓮くんと初めて出逢った時のことー。」
「トントン拍子だったもんね。」
「初めてメッセージした次の日だったもんね。まあ俺、あの時欲求不満過ぎたからそれでも長く感じてたわ。」
「…僕も。」
多分、初めて会った時既に蓮くんは今の彼女と付き合っていたんだと思う。詳細はあえて聞いていないけど。あの時の俺は、性欲ばっかだったから付き合うとかそういうのって本当にどうでも良かった。それに正直、仮に蓮くんに彼女がいたとしても、男同士ならいくらだって言い訳できるんじゃん?とさえ思っていたし。
今は———そう思えないんだけどさ
「いろんなことさせられたもんなぁ俺」
「う…ご、ごめん…」
「なんで謝んの。めちゃくちゃ良かったんだけど?」
蓮くんは、普段は凄く静かで優しい人だ。謙虚だし。だけどセックスとなると少し乱暴になる。最高だった。
「でも彼女にはそんな事、できないんでしょ?」
「しないよ。さすがに…」
「だから勃たないんでしょ?蓮くんはさ、もう普通のセックスできないんだって。彼女と付き合ってどんくらいだっけ?」
湯船の中で蓮くんの膝の上に跨り首に手を回した。
「…二年くらい。」
「ほら。彼女いんのに俺と出会って、今だってこんな事シてるんだもん。悪い人だなぁ。」
「やめて…」
俺の手を少し強い力で跳ね除けようとするから、俺は身体ごと押し付けてみる。
「彼女の身体じゃなくて、俺がイイんでしょ?だって何したっていいんだよ。痛い事も酷い事も、汚い事も。」
耳元でそう囁いたのは、ほんの少しの嫌味のつもりだった。頑なに男が好きな事は認めず、だらだらと女と付き合ってるから、少し意地悪したくなっただけで。
俺を選べば全ては解決なのにさ。
そう思った、だけ。
「"何してもいい"の?」
不意に低い声になる蓮くんは、いとも容易く俺の身体を湯船から引き摺り出して壁に手を付かせた。
「ちょ、違うじゃん、冗談。待って、無理無理、」
「僕はさ、変なんだよ。」
抵抗虚しく、俺は無理矢理に割れ目を広げられいつの間にか準備万端になったモノの先端が入り込んでくる。
「ッ!!やだ、痛っ…」
「ほら。痛がられると、どうしようもなくなるの。」
流石になんの準備も前戯も無しには、受け入れ難いのに蓮くんは無理矢理に捩じ込んでくるから思わず、うめいてしまう。けど、蓮くんは崩れ落ちる俺の身体を乱暴に支えてくる。
「むっ…りぃ…マジで…むり…むり…もっ、ゃだ…」
なんとか首だけでも蓮くんの方へ向けて、俺は泣きながら懇願した。すると、わざとらしいため息を吐いて、引き抜かれ、俺は床に倒れ込んだ。
「煽ったのは、佑磨くんでしょ?」
俺を見下ろす蓮くんの目に光は無くて、怖いのに、身体の奥は締め付けて、情緒が不安定になる。
「…へ…待って、どこ行くの、やだ待って、」
こんな情けない姿の俺を風呂場に放置したまま、蓮くんはタオルを巻いて何処かへいってしまった。リビングの方で何かを探す音がして、なんとなく勘付いてしまった。
そして、分かった。次に、蓮くんが俺にナニをしようとしてるか。分かってしまったんだ。
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