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②※
「出て。こっち来て。」
「い…嫌だ…」
「じゃあここでいいや。上せても知らないよ。」
蓮くんの綺麗な手には、俺が一番見られたくなかったディルドが握られていて思わず涙ぐむ。
「佑磨くんこそ、そんな可愛くて綺麗な顔して、言い寄ってくる女の子に良い顔してんのに、実際はこんなので一人で興奮しまくってるんでしょ?」
「何で見つけんの!隠してたのに…てか、関係ないじゃん、」
「"何してもいい"なら良いでしょ?」
そう言いながら、俺の脚を開いてローションを垂らしたディルドを充てがった。
「待って!!!」
精一杯の力で蓮くんの手を押し返して、俺は情けなく懇願した。
「ここでは、嫌だ…」
蓮くんはほんの少し微笑んだけど、すぐに笑みは消えて、俺の身体を適当に拭きあげてタオルの敷かれたベットに突き飛ばした。
目を開けるよりも前に、俺の上には蓮くんが覆い被さっていて、ふと初めて会った日の事を思い出した。
あの時も蓮くんはこんな風に死んだような目をしていた。
でも、儚げで綺麗な顔。
「何でもしていいから…だから、離れないで。」
そんな顔を、見て
何故か不安になった。
蓮くんが離れていきそうで。
この関係を過ちだと気付いて、終わらせようとする蓮くんが想像できてしまった。だから、俺は蓮くんに縋った。
「痛みも、何もかも、俺が受け止めるから、ね、だから、」
蓮くんはソレには返事をしなかったけど軽くキスをして、タオルで俺の視界を完全に奪った。
「僕のが入るように、自分で準備して。」
何処でどんな顔で見ているのか、分からないのに、俺は何故か興奮してしまう。蓮くんのより少し小さめのディルドを出し入れしながら、早く欲しいと願って。
「気持ち良いの?」
「き…もち、くなってきた…かも…」
「そう。じゃあ僕のじゃなくてもいいんだ。」
「違っ!!そうじゃな…ん、っんっ…」
首をキョロキョロと動かしていたのを、蓮くんの手が強い力で止めて、口の中に蓮くんのが侵入してきた。大きくて、硬くて、何度も口から滑り落ちてしまうから、俺は追うように何度も口に含みにいく。
「初めて会った時も、こんくらいしたかったのに。佑磨くんがあまりにも可愛くて…できなかった。」
「ふっ…ぁっ、良かっ、たのに、しても、」
「"して欲しかった"でしょ?…ほら、ちゃんと舐めて」
優しく戻ったかと思えば、また離れて行く。必死に謝るけど、喉奥を抉られてしまえば俺はただ嗚咽を漏らすだけ。
「佑磨くんのせいだよ。」
蓮くんは、小さな声でそう呟いて、俺の中から乱暴にディルドを引き抜いて床に落とした。
「っあ!…は、ぁ…そんな一気に…抜かな…」
蓮くんの指が俺の髪を撫でて、目隠しにされていたタオルが解けていく。間接照明ですら眩しくて、目を細めるけど目の前には蓮くんがいる。光のない目、気怠そうに俺を抱き寄せて。
「僕がこうなったのは、佑磨くんのせいだよ。」
先程よりはスムーズに蓮くんのモノを飲み込む穴から、卑猥な音が聞こえてくる。
「俺…のせい?」
「彼女とはもうできない。佑磨くんしか無理。」
「…ぁっ…ぁあ…おれ、だけ?」
「でも、どうしようもできないよ。もう。」
蓮くんの下で脚を開いて、受け入れるだけの俺は喘ぐしか脳のないただの変態だ。蓮くんの言ってる意味を理解する余裕なんかない。蓮くんのペースで揺れる視界、軋むベット、なんかもうどうでも良くなる。
そりゃ、蓮くんの恋人になれれば最高だよ。
でもさ、きっと、無理なんでしょ。
「良いってば…俺が、全部、受け入れるからって、さっきも言ったじゃん…」
「汚して、痛め付けて、苦しませたい。それで、誰より大事にしたいよ、佑磨くんのこと。」
歪んでんなぁ、なんて思うけど、そんなのは最初から分かっていただろう。蓮くんは、"普通"の自分も大事できっと振り切れないんだろう。だから俺が受け止めるの。歪んだ蓮くんの全てを。
だって、そんな俺もどうせ歪んでんだ。
似たモノ同士、影で、一緒に生きれたら良いのに。
「良いよ。好きにして、俺のこと。」
震える声を精一杯、堪えて、蓮くんにしがみ付く。
その瞬間、蓮くんの身体が震えて、遅れてやってきたのは生暖かいモノが体内に流れ込む感覚。
蓮くんとのセックスで
初めて心から満たされた瞬間だった。
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