何度目かの夜※

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何度目かの夜※

長袖じゃまだ暑かったせいで、ベタつく身体が気になる。 それなのに、蓮くんの優しくて綺麗な指が腹筋を這えば、そんな事はどうでもよくなりそうで。 俺は、首を傾けて蓮くんの唇を求めてから尋ねた。 「…どこまですんの?」 やらしい手付きだった指は理性を取り戻したみたいに、俺の身体を誠実に抱き寄せてしまった。 「ごめんね…ちょっと、我慢できなかった」 蓮くんは俺の鎖骨に顔を埋めて、小さくそう呟く。 別にあのまま続けたって構わなかったのに。俺は両手を蓮くんの頬に添えた。 「我慢しなくていい。」 「…でも、…だって…せっかく会えたのに…」 「俺は蓮くんと一緒にご飯食べたり、ゲームしたりすんのも楽しみにしてたけど、一番期待してたのはコレだもん。」 締め忘れていた玄関の鍵をさりげなく締めると、俺を抱きしめる力が強くなって、二人を包む空気が変わった。 「途中でやっぱりやめるとか…無理、かも。」 「言わない。」 そう答えた瞬間、俺より少し背の高い蓮くんが視界から消えた。 「ちょ…っと」 「約束したばっかりだよ」 そんな約束を数秒後に破りたくなったのは、いつもはシない事を蓮くんが貪るようにしようとするからで。あっという間に下着まで下げられてしまった俺は、立たされたまま片脚を持ち上げられて、卑猥な姿を晒した。 「ゃ…だ、これは、待って、」 「壁にもたれてていいから。」 蓮くんは俺の片脚を少しだけ強い力で押さえ付けたまま、一番恥ずかしい部分に舌を這わせた。 「シャワーまだ、だ、からぁ…だめだめだめ…だめ…」 「だからシたい。」 「ひぁ…っ、ゃだっ!!」 手持ち無沙汰な蓮くんの左手は俺の反り上がったモノを慣れた手付きで扱いていく。正直、穴を舐められただけでもイきそうなのに直接触られる快感に耐える自信なんてのはなかった。 「もうイくの?」 「…ッ、だって…禁欲するって、約束してたし…」 「んー…もう少し頑張れる?」 なんて笑って蓮くんは、先程よりも奥に舌を捻じ込んでくる。もうその感覚は言葉では言い表せられないほど、とにかく気持ち良くて、舌の熱さが全身に回るようだ。 いやらしい水音が絶え間なく響いて、俺は必死に声を我慢するけど多分そんなのは無意味。 「我慢…する…から、もっとシて…」 扱きながら俺を見上げる蓮くんと目が合うと、ぎゅっと強く握られるからまた俺は腰をよがらせてしまう。我慢するなんて約束はあと…1分、持てば良い方だろう。 「…ここにいつも僕のが入ってるのってなんか良いよね。こんな狭いのに…ね?」 「ぅあ…っ、」 ヒクついた狭いソコに蓮くんの長い指が、入り込んで何の前触れもなく激しく掻き回し始める。 「それ!無理っ…!」 「嘘つき」 「ぇ…?」 不意に低い声で俺を煽るような声を出すから、思わず情けない返事になってしまった。 「佑磨くんが一番無理なのは、ここじゃないでしょ。」 蓮くんの中指と人差し指が迷わず最奥を刺激する。下腹を中からノックされているような感覚がシて、ピリピリと電流のようなものが走れば——— 「……イっ、」 震わせたくないのに、腰は言う事を聞いてくれない。片脚で立っているのもそろそろ限界で、力が抜けるけど蓮くんに押し返され無理矢理にまた立たされる。 「指だけでイっちゃったね。」 「ゃだ…ごめん…我慢できなかった…」 蓮くんの綺麗な指が俺の白濁液で汚れてしまったのが、優越感でぼんやりと見惚れてしまった。 「とりあえず終わりにする?」 「えっ、」 優しい眼差しで俺に問いかける蓮くんは、冷静そうだ。正直今ので俺は腰が砕けそうな程気持ち良かったんだけど、蓮くんはどうなんだろう、と目線を下へ向ける。 「僕も苦しいんだけどね。」 「ぁ…ほんとだ…」 「お風呂出てからにする?」 冷静な顔とは裏腹に、スラックスの上からじゃ丸分かりな程苦しそうに張った下半身が俺の中を疼かせる。 思い出すのは、蓮くんのソレで激しく突かれるあの感覚 イったばかりのくせにじわりと滲んで、俺は蓮くんの指に自分の指を絡めてみる。 「今、する。」 「いいの?」 「いい」 食い気味で返事をすると蓮くんは少しだけ笑って、洗面台に俺の手を付かせた。その時にはもう、笑顔じゃなくてオトコの顔をしてて、いつもの優しい甘い顔なんか嘘みたいに面影も無くしていて。思わず、息を飲んだ。 「少し苦しませたい、けど、…顔も見たい。」 耳元でそう囁きながら、充分に慣らした入口に蓮くんの硬いソレが充てがわれる。 執拗に俺の肩に唇を乗せては、たまに噛んで、その痛みで俺の腰は跳ねる。 絶対に見えない場所に蓮くんは痕を残したがる。 肩から背中へと、そして、 物凄い圧迫が下腹を突き上げるように。 「う…っ…んぅ…すご…なんか今日…苦し…」 「きついね。」 「ごめん…久々だからかも…」 「んーん。安心したからいいの。」 「どゆこ…と、」 多分、わざとじわじわ攻めているんだろう。鏡越しの蓮くんは不敵な笑みを浮かばせながら、割れ目を開いて唾液を垂らした。 「だって誰ともシてないって事でしょ?」 「…当たり前じゃんバカかよ。」 「だって佑磨くん、こんなに可愛いんだもん。…誰かに取られちゃっても文句言えないでしょ。」 なんて言葉で喜ぶような浅はかな人間になったのは、蓮くんのせいだ。 楽な体制を取ろうとする俺の腰に後ろから手を回して、一気に上体を起こしながら、深いキスを繰り返した。 器用に、キスとは違うリズムで蓮くんは激しく出し入れをする。俺はそれが本当に好きで、まるで女みたいに甲高い声をキスの合間に上げてしまう。 「好き、それ…」 「知ってる。」 「めっちゃ奥…当たるの良い…ゃばい…」 「これは好き?」 細くて華奢な腕が俺の首を締め上げて、みっともなく下品な声で返事をしてしまった。 「ん"んっ、う"…っあ"…ぁっ、」 「苦しい?」 「…ぐ…っ、し…い…」 「嫌?」 思うように息も出来ず、逃れたいのに逃れられず、死ぬほどしんどい。でもさっきからもうずっと射精は止まらなくて、身体はこの快感を受け入れている。 「嫌じゃないんだ?」 蓮くんは俺の返事を待たずに、そのままの体制で腰の動きを更に速めた。 「あ"…!ゃ、ぁっ、やぁ、やっ」 「なに?」 「ゃ…!やじゃ…な…あ"っ、う"ぅ、好き…っ、好き…蓮くん…好きっ…」 僕も、ってそれが聞きたいのに。蓮くんに支配されてる俺の卑猥な声が全てを掻き消していく。そして、ぼやぼやの視界に少し見えたのは、泣きそうな顔した蓮くんの顔だ。 背中に走る鋭い痛み。そんな事しなくたって、俺には蓮くんしかいないのに。俺は蓮くんしか好きにならないのに。誰のとこにも行かないのに。 ———好きだよ、蓮くん。だから、答えてよ。
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