小桃ちゃんは嘘つきじゃないのに

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──昼休み。 「だから、私は言ってやったわけよ。そこでドロップキックできないようだからお兄ちゃんはいつまでも3流なのよ、って」  相変わらず意味がわからない話をするかなめちゃんに、再度話を切り出す。 「ねえかなめちゃん、今度こそ信じて欲しいんだけど」 「はいはい忍者忍者」 「だから、マジなんだって」  私は何度目かわからない結論に至る。やはり、目の前で忍術を披露するしかあるまい。 「忍術を、ご披露いたす」 「お、今日こそ火ぃ吹けー」  だから、そんなん出来ないっての。あれは油を口に含んで霧状にぶふぁーってしながら火付けるんだから。 「見よ、(とん)術!」  そう言うと、私はかなめちゃんの視界から一瞬で消え去る。  次の瞬間、机の下に隠れた私をかなめちゃんが見つける。 「防災訓練でありますか、五十嵐上忍」 「下忍なのですが」 「それって、ちょっと早く隠れるだけじゃん」  くっ……まったく信じてくれない。  やはり森の中とかじゃないとダメか……  ふと、次の授業のために机の上に置いた消しゴムに目が入る。  その消しゴムを指で摘み、かなめちゃんの顔の前に持ってくる。 「ほっ」  消しゴムを一瞬で消してみせた。  潜入捜査などで役立つ和妻(わづま)(※和風手品)だ。 「おお~、相変わらず見事」 「ふふふ、どうよかなめちゃん、忍者スキルは」 「いや、手品でしょ? というかそれ何回目? どうせ消しゴムは私のスカートのポケットから出てくるんでしょ? ……ほら、あった」  くうぅ……まったく信じてくれない……
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