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次の日は引越しを手伝ってくれた両親が帰る日だった。見送りをしようと京都駅まで一緒に行くと段々と寂しさが込み上げてきた。
なんでだろう。昨日まではあんなに新しい生活にワクワクしていたのに。寂しいと思うほど私が両親がいる生活が当たり前だったことに気づいた。
私は両親との仲は悪くなく、むしろ良い方だとも思う。でも、何故か私は人一倍実家を出たいという気持ちが強かった。ここに来て寂しいと感じるとは思わなかった。
ホームに着き、二人が私に
「都、風邪とか体調には十分気をつけてね。なんかあったら相談するんだよ。頑張ってね。」
寂しさのあまり涙を堪えながら、うんうんと返事をした。
新幹線がホームに入ってきた。両親は新幹線に乗り、ギリギリまでドアの前に立って手を振る。新幹線のドアが閉まろうとしていたとき、私は重要なことを言い忘れていたことに気づいた。
ドアはもう閉まりかけているが、私は
「ありがとう!私頑張るよ、頑張るから!」
と大きな声で両親に告げた。
新幹線が出発し、私はホームに踵を返した。私のここでの新しい生活はこの一歩から始まった。
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