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お花見
美樹ちゃん、お花見行かない?
そんな誘いを断る理由などない
誘ってきたのは、私の彼女なのだから
行きたいでーす♡
と、返事を打てば
すぐに既読になって
喜びのスタンプが送られてくる
幸せだ
幸せオーラ発令中なのかも
久しぶりに会ったあの人に
「幸せそうだね」と言わせる程度には
テレビでも、どこの桜が満開だとか
人出がどうとか言っている
病院内にある桜の木も見頃だ
「最初に言っておくけど、今日はお花見だけど桜じゃないからね」
期待させちゃってると悪いから。と
会ってすぐに出石さんに言われた
「え~逆に楽しみです」
桜じゃないお花見!わくわくする
「じゃ、行こうか。乗って」
出石さんの愛車で出発
天気も良いから渋滞が予想されるから
少しだけ高速道路を使って、降りたら山道をクネクネ
車窓からは長閑な風景が見える
ハンドルを握る出石さんに、こっそり見惚れる
「着いたよ」
そこは小学校だった
閉校になった小学校が駐車場として開放されていた
「ちょっと歩くね」
「はい」
小川が流れている
「田舎だなぁ」
「静かですねぇ」
誰もいないから、手を繋ぐ
未だにドキドキする
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