1人が本棚に入れています
本棚に追加
この一週間、僕は何回『ありがとう』を言っただろうか。僕は感謝巡りモドキを始めた。僕は今まで感謝の気持ちがあればその場で伝えていたわけだから巡る相手はいない。あえて言うなら両親に日ごろの感謝を伝えるくらいだ。
それで、始めたのが感謝巡りモドキ。まぁ、簡単に言えばありがとうをいう場面では必ずありがとうをいうだけだ。コンビニで店員から商品をもらう瞬間。すれ違う時に道を譲ってくれた人。
家出の何でもない瞬間。
ありがとうを言いたいがために、外に出ることも増えた。
ひとえにこれは、ただただ終末気分を味わいたいだけに過ぎないのかもしれない。でも、いっそ世界が終わるんだと思えば感謝なんていくらでもできた。
そして、終末の時が来た。
「やっぱり、世界は終わらなかったか……」
あきらめたように呟くと、なんだかちょっとだけホッとしてちょっとだけ残念な気持ちになる。
ただただこの一週間は局地的に感謝が大量に巡っただけだった。
でも、たったそれだけのことなのに。
「よし、今日も気合入れていくか!」
世界は少しだけ変わった気がする。
最初のコメントを投稿しよう!