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兄からせしめた警察手帳を手に再びタクシーに乗り込み、彩の待つキングス・クロスへと向かうよう運転手に告げる。
その時、折しもジャックからスマートフォンに電話が入った。
『Joe! I bring them. 』
(ジョー、犯人と似た人物を連れてきました!)
「I see. I'm coming asap.」
(わかった。すぐ行く)
そう伝えると、馬鹿でかい声で「Yes,sir!」と返事が返ってきた。
その声に驚いたのか、運転手が急ブレーキを踏み智樹は助手席のシートに思い切り顔をぶつけた。
智樹は額を撫でながら、目があった運転手に愛想笑いをしてみせた。
ふと、助手席のシートに目をやるとガーディアン紙が無造作に置かれているのが目に入った。
「Actually, I bought it while you wait.」
(お客さんを待ってる間に買ったんだよ)
何気ない口調で運転手が口にしたのを聞いたが、それよりも気になったのは一面の見出しだった。
【Failure of “Class-Britain”; Prime Ministers Subjects】
(階級制度の失敗?!首相たちの課題)
見出しを見て、智樹は目を細めた。
「Well, it seems to cloudy, huh?」
(おや、曇ってきたねえ)
運転手が呟いたのを聞いて、智樹も顔を上げた。先ほどまで広がっていた青空は、今は灰色の雲に覆われている。
―急がなければ。
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